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歯周病とは

歯周病のはじまり

 歯周病(歯周疾患)は古くからある病気で、人々は歯茎(歯肉)がはれたり、化膿したりすることによる痛みに苦しんできました。歯周病(歯周疾患)に対する治療というのは歯を抜いたり、腫れた歯茎(歯肉)を切り取ることぐらいしかなく、その原因などもよくわかっていませんでした。しかし、多くの研究者がその問題に取り組んだ結果、1965年になってその原因を突き止める研究が発表されました。
 歯周病(歯周疾患)の原因とは実は歯垢(プラーク)と呼ばれる歯に堆積するねばねばした白い塊だったことがわかりました。
この歯垢(プラーク)と歯周病(歯周疾患)との因果関係を明らかにしたのはLöeという研究者です。彼はヒトの歯周病(歯周疾患)が歯垢(プラーク)によって引き起こされ、歯垢(プラーク)を除去することで治ることを1965年にはじめて示しました。
 彼は学生を使って簡単な実験を行いました。その実験とは、2週間のあいだ歯磨きをしないで、その後ふたたび歯磨きを開始するという簡単なものです。2週間歯磨きを中止したことにより、歯茎(歯肉)からの出血、発赤(歯肉が赤くなること)といった炎症の症状が見られるようになりました。しかし、歯磨きを再開すると歯茎(歯肉)からの出血が止まり、歯茎(歯肉)の色も健康な色にもどり、歯茎(歯肉)から炎症が消えていくことがわかりました。つまり、「歯茎(歯肉)に歯垢(プラーク)が付くことで歯周病(歯茎の炎症)が引き起こされ、それを除去することで歯周病(歯茎の炎症)が治っていく」、ということが明らかにされたのです。歯周病が歯垢(プラーク)により引き起こされる病気であることがはっきりと示されたわけです。

[さらに詳しく]

口腔清掃と炎症の関係Löeたち(1965)は歯科大学の学生たちからボランティアを募り実験を行った。実験は2週間のあいだ口腔清掃を中止させ、その後ふたたび再開させるというものであった。
 図1は縦軸にGingival Index (GI)をとり、横軸に時間(日数)をとっている。左端から口腔清掃中止日を0日として、炎症が発症するまでの日数をかぞえ、中ほどに口腔清掃を開始した日を0日として炎症が消失していく日が何日目であるかを見ることができるようになっている。実験開始後すぐから10日〜3週間ほどで全員に歯肉の炎症(歯肉炎)が見られた。口腔清掃を中止したことでプラークの蓄積が開始されたためである。炎症の発現までの日数には個人差があるが、プラークの蓄積により歯肉に炎症が引き起こされることが示された。口腔清掃再開後、急速にGIが下がり、早い人で3日ほどで健康歯肉を回復したことがわかる。この実験から、ヒトにおいてプラークの蓄積により歯肉炎症が惹起され、プラークの除去により歯肉炎症が消失することが明らかされた。つまり、歯肉炎症(歯肉炎)の原因がプラークであることがはっきり示されたのである。

【参考文献】

Experimental gingivitis in man   Löe et al. (1965)
Experimental gingivitis in man Ⅱ  Theilade et al. (1966)

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